2013年4月23日

冒険


今日は家の近くで用事があったので、探検がてらいろいろ歩いた。


10:15
いっこめの用事が終わった。電車だったら10分ほどで帰れるけれど、
直線距離を見てみたら歩けそうだったので歩いてみることにした。

今日出かけていたのはうちの沿線ではなく、
車だと近いが電車だと線が違ってぐるっと遠回りになるような位置の場所だった。
時どき、仕事帰りに買い物するために隣の駅で降りることがあって
一駅違ってもそんなに駅周辺の雰囲気は変わらないけれど、
路線が違うとがらっと雰囲気が変わるような気がする。
通っている電車も、そのデザインも新鮮だし
私の路線は高架の上を走るけどその線は地上を走っているので
踏切の信号がカンカンカンと鳴るのも新鮮だった。

距離はそんなに離れていないはずなのに、知らない地名、知らない街がそこに広がっている。
知らない駅から知らない電車が走っていて、これに乗ったらどこか知らないところに連れて行かれそうな感じがする。

一人で勝手にわくわくしながら、駅から歩きだした。

10:30
区立図書館を発見。引っ越してきてから図書館を探していたので入ってみることにした。
いろいろ本棚を見たけど、借りられないなら仕方ないな、と思ってカードを作れるか聞いてみた。
住所の確認ができるものと本人証明が必要だとのことだったけど、
今日はたまたま、電話料金の支払い明細を持っていたのですぐに作ってもらえた。
聞いてみると、家の近くにもっと近い図書館があることが分かったので、カードだけ作って出発。

11:15
バス通りをさらに北上していると、雑居ビルの外に「珈琲と絵と音楽」という看板が。
なにこれ!気にならないわけないよね!
覗き込んでみると、ビルの廊下の一番奥がカフェになっているようだった。
ドアを押して入ってみると、まだ開店前だったみたいだったけど
どうぞどうぞと入れてくれたのでコーヒーをいただくことにした。
壁にはいろんな絵が飾ってあったのだけど、そのうちのひとつの絵がとても気に入った。
聞くとお店の方がご自身で描かれているらしい。
細いペンで女性や纏っているドレスなどが描かれているんだけど、
それがまた別のモチーフとつながっていて、
例えば女性がかぶっている長い帽子がそのままモスクの塔のようになっていたり
ドレスの裾のレースがそのまま幾何学的な柄として地の模様のようになっていたり
見たこともない世界観の絵だった。

スケッチブックにいろいろな作品があったのでひとつひとつ見せてもらったのだけど、
めくるごとにどの絵も自分の心にしっくりくる感じ。
風景や人やものを描くのではない、描いた人の頭の中を映し出したような絵なんだけど
「こういうの、私も見たかったんだ!」と探していた景色に出会うような、
そんな不思議な体験だった。

それで、こんなこと言ったこともないんだけど、
そのうちのひとつの絵を売っていただけますかと聞いてみた。
そうしたら快く返事をしてくれて、7月にちいさな展覧会をやるので
その時までに額を探しておいてくれるという。

コーヒーを飲みながら、その後もいろいろ話をしたのだけど、
「額はどんなのがいいですか」「何色がお好きですか」と
時どきふっと思い出したように絵の話に戻る。
その瞬間、「この人、今何か降りてきてる」という感じがしてとても面白かった。

額の話もお値段のことも話したのに、その人は私の名前も何も聞かずに
「ではまた7月に」としか言わなかった。

11:50
店を出ると、職場の同僚に聞いた、この近くのおいしいぱんやさんのことを思い出した。
営業時間が短く、週末も早く閉まってしまう、と聞いていたので
それなら平日の今日立ち寄ってみよう、と行ってみることにした。
帰路から外れて10分くらいだけど、いい運動になるよね。
近くまで行くとあたりにはもういい匂いが立ち込めている。
フランスパンや白パンや、シンプルなパンをいくつか買うことにした。

12:15
パン屋を出て歩くと、聞いたことはあったけどどこにあるのか知らなかった
ケーキやさん、CDやさん、レストランなどをたくさん発見。
わーまた来たい!駅の反対側にこんなにいろいろあったんだ!と思いながら
わくわくが最高潮になったところで、帰宅。


ぽかぽかあったかい日の2時間の冒険はなかなか楽しい時間だった。